Cradle
管理人の生態。いろんなモノへのネタバレ配慮が欠けてるのでご注意ください。
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ついさっき
日記を書いたばっかりじゃねぇか。
と思いつつ。
オリジナルSS第2弾!
朱姫と黒嗣の出会い編。
正直、あんまり中身がないかもしれない。
ってか、『遥か』書けよ・・・
と思いつつ。
オリジナルSS第2弾!
朱姫と黒嗣の出会い編。
正直、あんまり中身がないかもしれない。
ってか、『遥か』書けよ・・・
手を伸ばして。
隣にあるはずの熱を求めて。
何もぬくもりさえないことを確認して。
ようやくダブルサイズのベッドから起き出す。
それは癖のようなもので一日の始まりの儀式のようなもので朱姫の日常の一部だった。
ざあざあと音がする。
コンクリ打ちの部屋は朝だというのに濃い灰色。
この部屋には時計が無いから本当のところは何時なのかわからない。
朝かもしれないし、午前かもしれないし、もしかしたら午後かもしれない。
そんなことは朱姫にとって大した問題ではなかった。
黒嗣がいない。
それさえ理解していれば何の問題もない。
それでも。
雨の日は憂鬱だ。
部屋の隅にうずくまって窓の外を睨みつけるように見る。
黒嗣が早く帰ってくればいい。
ただのワガママ。
「そんな格好で何してる?」
キイとドアの開く音。
同時に朱姫が聞きたいと思う唯一の声。
「仕事は?」
「質問は俺の質問に答えてから」
胸元に白いレースのついたシンプルな黒地のスリップ。
ただそれだけを纏って朱姫は迷い猫のようにうずくまっていた。
冷房のきいた部屋では寒いだろうに顔色一つ変えない。
モノトーンが支配する部屋で静脈血色の髪が唯一色を発していた。
「・・・何もしてない。ただ、見てた」
黒嗣の瞳から目をそらす。
そのまま膝に顔をうずめた。
「雨は嫌いか」
黒嗣の抑揚のない静かな声。
朱姫を動かすモノ。
「好きじゃない」
雨は一人ぼっちだった頃を思い出す。
黒嗣に拾われる前。
普通に高校に行ってクラスメイトとバカ騒ぎしてそのくせ孤独を持て余して。
家も嫌いで夜の街に出てそこにも居場所がなくて。
廃ビルの階段で膝を抱えてた頃。
何もなくて飢えていて求めるばかりで。
つい数ヶ月前までの『日常』
「・・・でも。嫌いじゃない」
「矛盾してる。いや、共存してるのか」
「よく、わからない」
雨が強くていつもの廃ビルから出るに出られず。
かといって、一階でクスリを使いながらダベってる不器用な寂しがりや達に混じるのは悔しくて。
二階で好きでもない男と肌をあたためる気もなかった。
それより上には行ったことがない。
下で使ってるのよりやばいクスリの取り引きだとか、鮮血の飛ぶ賭け事だとか。
興味がなかった。
階段でMDを聞きながら時間が流れるのを待っていた。
普段ならそれでやり過ごせた。
どうしてだろう。
あの日はうるさかった。
うるさくて、いてもたってもいられなくて。
気が付いたらどしゃ降りの街へと走り出していた。
「お前と会ったのも、こんな雨の日だったな」
「そう。雨が黒嗣を連れてきた」
廃ビルを抜け出たところで居場所なんてない。
ずぶ濡れのまま家に帰るわけにもいかない。
人通りのない細い路地でありふれた雑居ビルの壁にもたれてどす黒い空を見上げる。
酸性雨のpHは5.6以下だったな、なんて無意味なことを考えていた。
音もなく現れた人影。
漆黒。
真っ暗な世界でそれなのに黒嗣は黒かった。
一言も発さずに腕を掴まれて、そのまま何の不思議もないかのように日常の一部のように歩き出された。
抵抗をしようとは思わなかった。
「今度は私の番。仕事は?」
「明良に回した」
「どうして」
「雨の日はお前が不安定になるから」
「バカ」
多分、一瞬だけ見えたオニキスのような瞳が似ていたから。
独りでも生きていけると拒絶する自分と。
奥底に流れるモノに同調した。
離れられなくなる予感はあった。
世界が変わる気がした。
その日から朱姫は黒嗣の所有物になった。
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