Cradle
管理人の生態。いろんなモノへのネタバレ配慮が欠けてるのでご注意ください。
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ええっと・・・
『3』泰望SSです。
久々だから、肩慣らしにちょっとネタを書くつもりが。
普通にサイトに上げるレベルの長さになってしまった・・・
多分、さっさとサイトに行きます。
なので今読まなくても大丈夫!!(笑)
久々だから、肩慣らしにちょっとネタを書くつもりが。
普通にサイトに上げるレベルの長さになってしまった・・・
多分、さっさとサイトに行きます。
なので今読まなくても大丈夫!!(笑)
この部屋はいつも暗い。
フローリングの床。
壁紙はアイボリーで日当たりは良好。
それでもこの部屋は暗い。
暗幕のような黒のカーテン。
クロームメッキのシェルフ。
黒いローボードとその上にあるあまり大きくはない液晶テレビ。
家具はそんなに多くないがそのほとんどの色は黒。
この部屋の主の趣味だから仕方がないのだけれど。
それにしたって暗い。
冷たく無機質な感じがする。
けれど望美はそれを嫌ってはいなかった。
その部屋が望美を拒んでいないことがわかるから。
それはつまり、この部屋の主が望美を拒んでいないことを意味する。
「座っていたらどうだ?」
「だってフローリングが冷たいんです」
上等な絹のように細く美しい漆黒の髪をゆるく束ねている男を望美は振り返る。
昨日の雨のせいか外は晴れているというのに気温が低い。
秋が近いということなのだろうか。
「クッションにでも座っていればいいだろう?」
この部屋には大きな丸いパウダービーズのクッションがある。
望美が買ったもので色は白。
部屋の雰囲気を壊さずに、けれど黒以外でと思ったらこれしかなかった。
「汚れるのが嫌なんです」
ミルクティーの入ったマグカップを受け取りながら望美はにっこりと笑う。
男は眉をしかめた。
その手には望美とお揃いのマグカップ。
ただし、中身はコーヒーだった。
ブラック無糖の。
はぁ、とため息をつくと男は部屋の真ん中にあるローテーブルにカップを置く。
「お前のワガママは幼なじみの甘やかしのせいか?」
「将臣くんも譲くんも関係ないですよ。相手があなただからです」
「俺にどうしろと?」
「え?う~んと・・・・・・」
特に考えがあったわけではない望美は考え込んでしまう。
その愛くるしい表情を見て、気付かれないよう小さく苦笑をしつつ男は床に座る。
「なんで座れちゃうんですか!?」
「あいにくとお前ほど軟弱ではないからな」
「な・・・っ!!??」
男の人を小馬鹿にしたような顔を見て望美は膨れる。
こういう人だと知って、それでも離れられなくて。
けれど少しムカつく。
むうっとしたまま、望美も男の隣に座る。
床にぺたんと。
クッションを使うことなく。
男が呆れたように笑った。
「すぐに挑発に乗るな」
「誰のせいですか」
「さあ、誰だろうな」
5歳という年の差からくる余裕。
悔しい。
どうやったって年の差は埋めようがない。
大体なんだってこう尊大な態度なんだろう。
実際偉い人だったっていうのはわかってるけど。
それにしたって、もう少しマトモになれなかったんだろうか。
こんなんだから敵ばっかり作ってたってわかっているはずなのに。
「いい加減こちらを向いたらどうだ?」
不意に腕をひかれる。
慌ててテーブルに置いたカップはカツンと音を立て、少しだけ中身が零れた。
「ずっとそっちを見てたじゃないですか」
「視線はな。何を考えていた?」
「それは・・・」
目の前の貴方のことだなどとは口が裂けても言えない。
否、言いたくない。
自分ばっかり相手のことを考えているなんて悔しすぎる。
「こちらを向けと言っている」
望美の頬に添えられる男の手はあたたかい。
普段は冷たいと思っていたのに。
思わずその手に頬をすりよせた。
男は少しだけ瞠目するが、すぐに望美の状態に気付いた。
今は15時を少し過ぎたところ。
お子様体質な望美にはお昼寝タイムなのだ。
「眠いならそう言えばいいだろう」
「だって・・・・・・」
「なんだ?」
「寂しい」
小さく蚊が鳴くような声を男は聞き逃さなかった。
まったく、と不機嫌そうに呟く。
けれど漆黒の瞳は普段なら見ることのない優しい色を帯びていた。
「少し待っていろ」
隣の部屋から厚手のタオルケットを持ってくると望美にそっと掛けてやる。
男の持ち物にしては珍しい、生成り色のそれを望美は嬉しそうに握り締めた。
「ここで寝ればいい。それがあれば少しはいいだろう」
「・・・頭の置き場がない」
「そこにクッションがあると思うが?」
「あれ、微妙に高いんです」
望美が暗に言わんとしていることに気付き、男は今日二回目のため息をつく。
「勝手にしろ」
ふにゃりと幼子のような笑顔を浮かべて望美が横になる。
その頭は男の膝の上。
しばらくは頭を動かしてしっくりくる位置を探していたがすぐに大人しくなった。
「寝ている間にベッドに運んで部屋からいなくなってたら怒りますよ?」
「わかっているさ」
不安げに見上げてくる望美をあやすように。
大きな翠色の瞳を今にも覆いそうな瞼に男はそっと口付ける。
その熱に安心したのか、ゆっくりと望美は眠りへと落ちていった。
「おやすみなさい、泰衡さん」
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